起業準備では、様々な書類・手続きが多く、1人で起業をするには、とても手間がかかります。実は、国や都道府県では、ある程度の支援制度が儲けられていて、創業場所によっては、優遇措置が充実している場合も。
今回は、moco(@moco_products)が、実際に東京都豊島区で特定創業支援の認定を受けたので、その実体験を元に、特定創業支援等事業を利用するメリットと、優遇内容をまとめていきます。
この記事がオススメな人
- 起業準備中の人
- 豊島区で起業しようと考えている人
- 特定創業支援等事業を利用しようと考えている人
特定創業等支援事業とは
特定創業支援等事業とは、経営、財務、労務、販路開拓の4つの知識を身につけるプログラムになっています。専門相談員の個別相談を一定期間・一定回数受けること、さらに「起業計画書」を作成することによって、認定を受けることができます。
認定を受けると、市区町村が発行する証明書によって、さまざまな優遇をうけることが可能です。
優遇内容
早速、優遇内容です。
- 法人設立時の登録免許税が半額になる
- 新創業融資制度(日本制作金融公庫)で、自己資金要件が免除される
- 新規開業資金(日本制作金融公庫)の貸付利率が引き下げになる
- 東京都の創業融資の金利が、特例措置として優遇される
- 創業関連保証の申込みが、事業開始6ヶ月前から申し込み可になる
- 国や東京都の創業に関する補助金・助成事業へ申請できる
1つずつ簡単に説明していきます。
法人設立時の登録免許税が半額
法人設立(または法人化)の際に納める税金「登録免許税」が半額になります。対象は株式・合同・合資・合名会社です。
※例えば株式会社設立時には、最低でも150,000円の登録免許税が必要ですが、半額の75,000円となります。
なお、合同・合資・合名会社については平成28年度登記分から優遇措置の対象となります。
新創業融資制度(日本制作金融公庫)で、自己資金要件が免除
日本政策金融公庫の「新創業融資」を利用する場合の、自己資金要件が免除になります。
※新創業融資(無担保・無保証人)詳細
新規開業資金(日本制作金融公庫)の貸付利率が引き下げ
日本政策金融公庫の「新規開業支援資金」について、貸付利率の引き下げ対象として同資金を利用することができます。(別途審査を受ける必要があります。)
※新規開業支援資金詳細
東京都の創業融資の金利が、特例措置として優遇
東京都の創業融資について、特例措置として金利が0.4%優遇されます。
※東京都制度融資詳細
創業関連保証の申込みが、事業開始6ヶ月前から申し込み可
創業関連保証枠を利用した融資について、通常なら事業開始2ヵ月前から申込みのところ、前倒しして6ヵ月前から申込みが可能となります。
国や東京都の創業に関する補助金・助成事業へ申請できる
国が取り扱う「創業・事業承継補助金」や、東京都及び東京都中小企業振興公社が取り扱う「創業助成事業」は、国・東京都が指定する創業支援(豊島区の特定創業支援事業を含む)を受けた方が対象となります。
利用対象者
起業希望者、創業後5年未満の中小企業者です。
利用方法(豊島区の場合)
としまビジネスサポートセンターに電話し、個別相談の予約をいれます。
1ヶ月以上・4回以上の相談を受け、「起業計画書」を作り上げます。
特定創業等支援事業を利用するメリット
なんと言っても、お金の優遇措置が大きいです。
法人設立時にかかる登録免許税は、株式会社の場合、15万円ほどかかりますが、半額になりますし、公庫での貸付利率や金利が安くなるので、さほどお金の心配をすることなく、事業を始めやすくなるという、大きなメリットがあります。
さらに、1ヶ月以上・4回以上ということは、最短で1ヶ月中に約4時間の相談時間を捻出し、「起業計画書」を作り上げられれば、認定を受けられます。時間的コスパも良いと思います。
事業計画書を作ったことがある人は、区の言っている「起業計画書」も簡単に作ることが可能です。
初めての方は、個別相談員の方に指導を受けながら作成することができるので、どんどん相談していくのが良いと思います。
実際に私も、この経費は減価償却に出来るのか、どういった補助金があるのか、豊島区の融資制度について(その後公庫との比較)、仮にバイトがバックレた場合にどうすればよいか、など、いろいろと相談させていただき、1枚の「起業計画書」が完成しました。
私は、割とケチ(あまり無駄なところにお金を払いたくない)なので、国が優遇してくれるこの制度を活用するのが1番良いなと、食いつきました。
また、私がやりたいと思っている事業は、投資家が食いつくようなネタではないので、出資よりも融資だと思い、少しでも安く…という自然な流れで、特定創業支援等事業を活用しようと考えました。
デメリットはあるのか?
基本的には、ありません。
あえてデメリットを言うならば、時間的拘束です。
間違いなく4時間以上の相談員との面談があるので、その分移動時間と相談時間は取られます。
しかし、これも無料で受けられるので、自ら分からないところはどんどん持っていって、時間を有意義に過ごしましょう。
特に最近は、起業相談がとても増えており、予約を取るのも困難なのだそうです。
実際に私も、4月中旬に初めて行きましたが、認定されたのは、6月10日。
比較的速いほうだとは思いますが、2ヶ月ほどかかりました。
都道府県・市区町村によって、優遇内容や受け方などは多少の違いがある
私は、豊島区の他にも、様々な市区町村での起業を考えていたので、渋谷区・中央区・新宿区などの特定創業支援等事業の優遇や、優遇に至るまでの講義内容などを確認しました。
優遇内容で多少の違いが出てくるとすれば、市区町村独自の融資あっせんの金利や利子の%の違いです。
また、市区町村によって、女性を優遇するような制度もあったりして、そういったものも確認していました。
また、講義内容については、豊島区はいつでも個別相談が可能、渋谷区などは、時期で区切っており、その時期に申し込まないと次は半年後のようなものでした。
結果的に私は、1番家が近い豊島区にしましたが、比較していた他の区に比べると、土地代も安く、女性支援も豊富なので、満足しています。
(なんと言ってもインターネットサービス事業、事務所は最低限にしておきたいw)
特定創業等支援事業認定までの道のり(豊島区の場合)
1ヶ月以上・4回以上通う必要がある
利用方法に、1ヶ月以上・4回以上相談を受けること、と書いてあるとおり、最短でも4回は通う必要があります。
ここでは、私が実際に利用した方法をご紹介します。
0:まずは電話予約で「としまビジネスサポートセンター」に行く
まずはとしまビジネスサポートセンターに遷移し、電話します。
電話をするときには、「ホームページを見て特定創業支援を受けたいのですが…」といえば、伝わります。そうすると、軽くヒアリングされた後、予約を入れられますので、まずは空いている日時で予約を入れましょう。
開いている時間が平日の9:30〜16:30なので、社会人にとっては難しい時間帯ですが、会社員の方は、有給などで対応するのが良いと思います。
①起業創業相談
まずはじめに出てくるのが、起業創業相談員の方です。
まずは、起業計画書の話(オリエンテーション)、そして、次回予約、この後に出てくる②〜④の予約まで、最初から最後までアテンドしてくださる方なので、分からないことや起業資金のこと、ビジネスプランの構築、起業計画書の作成方法などを聞くと良いと思います。
私の担当になってくださった方は、すごく親身になってくれました。
1回目の起業計画書の話を経て、まずは自分なりに書いてみました。
2回目は起業計画書の修正ポイントを教えてもらいました。
3回目には、修正をしたものを持っていき、無事起業計画書は完成しました。
ちょっとだけ気になるところを残しながら…
②売上拡大相談
②〜④は実は1日でこなしました。13時〜16時まで、みっちり3時間コースです。
とはいえ、何度も行かなくていい分、すごくコスパの良い通い方でした。
売上拡大相談では、サービスの内容や集客の方法など、一通り今考えていることをお話しました。
本来であればアドバイスを受けるところですが、集客方法や売上拡大方法などは、仕事でやっていたこともあり、特にアドバイスなしで終わりました(笑)
③経理・税務相談
経理・税務相談では、実際の税理士さんにお話を伺うことができます。
実際に起業計画書を作成している時に気にしていた、開発費の減価償却についてなどを教えてもらったり、創業する時の補助金で使えそうなものがあるから、と教えてもらったり。
節税にも関わるので、法人化する時のタイミングなんかも教えてもらいました。
補助金は、インターネット広告費やコンテンツ制作費を賄えそうなので、申請してみようと考えています。
それまでは、消極的に、SNSやオーガニック検索でどうにかしようと考えていましたが、この相談で計画が良い方に変わりましたね!
次は商工会議所に行って詳細を聞いてくる予定です。
正直、1番タメになったのは、この経理・税務相談です。
個人の税理士さんに頼むよりも、まずは、区がサポートしている税理士さんにアドバイスを頂いたほうが絶対に良い、と確信しました。
④労務相談
労務相談では、
- 労災保険・雇用保険
- 社会保険
- 労働条件
- 就業規則
この4つを教えていただきました。
労務については分からないことだらけですが、今の所は1人起業。
増えても業務委託、と考えているので、すぐにすべてが必要になるとは考えていないですが、会社で負担するお金は多いんだなぁと思いました。
正社員で30万円の人を雇ったら、
- 労災保険:0.3%=900円
- 雇用保険:0.6%=1800円
- 厚生年金:15%=45,000円
今私が分かっているだけでも、これだけ負担しないといけないわけです。
人をたくさん雇っている会社って本当にすごいんだな…と、会社員時代を思い返していました…。
認定を受けるための書類を用意
さて、1日に3つの講義を受けたので、早速認定を受けるための書類を当日準備して持っていきました!
準備したもの
- 申請書(2部)
- 起業計画書
- 直近の個人住民税納税証明書
- 豊島区で起業する・起業した証明
- 創業予定(賃貸借契約書 or 定款等)
- 豊島区創業5年未満(履歴事項全部証明書等)
- 事業を営んでいない個人である証明
- 経営者であった場合:退任登記後の履歴事項全部証明書
- 現在従業員または従業員であった場合:源泉徴収票、離職証明書
私は、まさかの当日書類不備でした。
というのも、去年私は、新型コロナの影響で離職しており、住民税が免税されていた!という特殊な人でした(苦笑)
なので、当然住民税納税証明書を発行出来るわけがなく、そういう場合は、「非課税証明書が必要」とのことで、住んでいる地域に戻り、書類を取り寄せて、後日また豊島区役所に向かうことになりました…。
無事、認定!
そして、6月10日、ついに認定を受けました!
年度内申請書は有効だそうで、もしその後必要になった時も、また新しく取りに来れば良い、とのこと。
ここからは事業を作っていきます!
利用する予定の優遇内容は?
さて、利用したい優遇内容ですが、私の場合は以下の通りです。
- 法人設立時の登録免許税の半額
- (新創業融資(日本政策金融公庫)の融資)
- (新規開業支援資金(日本政策金融公庫)の貸付利率の引き下げ)
- 国や東京都の創業に関する補助金・助成事業に申請
基本は国のものを利用する予定でいます。
まずは商工会議所に行って、小規模事業者持続化補助金の適応が可能かを聞いてくる予定です。
どうやらこの認定を受けていると、補助金が上がるのだそうです。
新創業融資と新規開業支援資金は、事業計画上、今必要でない可能性もあるので、まずは事業を進めてから考えていきます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
豊島区に限定した話も多く出てきましたが、これから創業したい方、起業準備中の方には、ぜひ受けていただきたい制度です。
私はこの認定を受けたことによって、いつでも会社を立てられる!という安心感を得られましたし、同時に、会社を立てるより前に、事業を軌道に乗せることの重要性を学びました。
ここから先は、事業に集中していきます。
少しでも、起業準備中の方のお役に立てたら幸いです。
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